ARTHUR-AQUAMARINE's MEMO

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TOPETHICS AND PHILOSOPHY ≫ 第5章 西洋現代の思想 >> 05 思想の新潮流 ポストモダン以降 >> ② 構造主義の展開
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◇ 05 思想の新潮流 ポストモダン以降

  • 批判理論から現代思想まで、思想の潮流を把握しよう。
  • 「道具的理性」や「野生の思考」など、重要用語の背景にある考え方を理解しよう。
  • ラカンやリオタールなど、さらに踏み込んだ知識にふれてみよう。

② 構造主義の展開

構造主義とは
 1960年代にフランスを中心にして思想の新しい潮流が起こる。サルトルの実存主義に代表されるそれ以前の思想は、社会や文化全般を人間という「主体」を中心に考えるものだった。一方、新しく生まれた思想では、主体の思想や行動は、たとえば「社会」といった「構造」によって決定づけられると考えられるようになる。また、この思想は、社会を個人という主体が集まって構成されたものではなく、それ自体で独自の「構造」を持つものととらえた。構造主義とよばれるこの思想の潮流は、ソシュールの構造言語学から発展した。
二項対立
 構造主義の基本的な考え方には二項対立がある。ソシュールの構造言語学にはこの考えが多々見られ、たとえばソシュールはラングパロール ※(1)によって成り立っていると考えた。
 また言語記号そのものにも二項対立がある。記号は知覚可能な視聴覚イメージであるシニフィアンと、記号の意味内容、概念を表わすシニフィエからなる。シニフィアンとシニフィエは対立する要素ではあるが、「一枚の紙の表裏のように」分離することはできない。そもそも記号は他の記号との対立関係においてのみ規定される。記号の体系にはそれだけで独立するような項は存在しない。記号同士の相互依存の関係があるだけである。したがって、個々の記号が重要なのではなく、記号間の差異が重要であり、記号の体系においては差異が意味をなすのである ※(2)
レヴィ=ストロースの思想
 レヴィ=ストロースは、構造言語学の考え方を大胆に人類学に応用した。具体的には、先進社会と未開社会に共通する文化の構造を描き出した。
(1) 婚姻関係の構造
 まず、レヴィ=ストロースは、先進社会と未開社会に共通する「近親婚のタブー」を構造論的な観点から明らかにした。レヴィ=ストロースによれば、近親婚を避けるのは、娘や姉妹を性的な対象として利用することを禁止し、そのことによって「女性」を媒介とする他集団との「交換」を成立させるためであった。言語や財物とともに、女性の交換、すなわち婚姻は、互恵的な社会関係の拡大と社会集団の安定を図る機能なのである。
(2) 野生の思考
 長年のフィールドワークからレヴィ=ストロースは、未開人の思考にある構造的な特徴があることを発見し、それを「野生の思考」と名付けた ※(3)。「野生の思考」には、先進社会が得意とする抽象化やモデルの使用とは異なるものの、物に即した「具体の科学」として、それ独自の分類の論理や類推の方法がある。その一例として、レヴィ=ストロースはトーテミズムを分析する。トーテミズムとは、ある特定の動物や植物の名称を個人や部族に付与して、両者に特殊な関係を設定することである。ここには分類や類比の思考が働いている。
人間の無意識における構造
 人間は無意識的な「構造」によって動かされていると考えるのが構造主義の一つの傾向である。人間の無意識を分析する精神分析は、当然この思想と大いに関係がある。
 「フロイトに還れ」をモットーとするジャック・ラカン(フランス 1901~1981)は、無意識の中に構造的な思考を見いだした。ラカンは「無意識は言語のように(言語として)構造化されている」と述べている。人間は無意識においてすら言語的・象徴的秩序を有し、それらは厳密に構造化されているというのである。
 ラカンによれば、人間の精神は想像界、象徴界、現実界という3つの次元に属している。想像界とは言語を獲得する前の人間の状態で、はじめて自己を意識したり、他者を自己に類似した「鏡像」のようなものと見たりする次元である。しかし、われわれの現実は大半が象徴化された(言語化された)秩序によって成立している。そうした象徴化された現実が象徴界である。人間にあっては、名前、性別、世代、家族関係などは象徴的な区別であり、単なる生理的・物理的な区別ではない。最後の現実界とは、象徴化に失敗するような現実の次元のことである。象徴化の失敗は、いわゆる「精神病」をもたらす大きな要因となる。
構造主義
「構造」が主体の思考や行動を決定づける
二項対立を軸にものごとをとらえる
レヴィ=ストロース
・構造言語学を人類学に応用
・未開人の思考の構造的な特徴(野生の思考)を発見
注釈
ソシュール
- Ferdinand de Saussure [1857~1913]
 スイスの言語学者。主著『一般言語学講義』など。
(1) ラングとパロール
ラングとは話し手が発話するために前提となる潜在的な体系であり、言語共同体(たとえば日本人)に蓄積されている言語の総体(たとえば日本語)である。一方、パロールは話し手が個人としてラングを具体化すること、つまりラングの諸要素を使って発話することである。人間は語るためにラングを必要とするが、パロールを通じてでしかラングを実現できない。
(2) 差異が意味を成す
「ラングの中にはただ差異しか存在しない」とソシュールは述べている。
レヴィ=ストロース
- Claude Lévi-Strauss [1908~2009]
 フランスの人類学者。主著『悲しき熱帯』『構造人類学』『野生の思考』『親族の基本構造』など。
(3) 野生の思考
「野生の思考」を素朴な思考だと考えるのは偏見であり、自民族中心主義やヨーロッパ中心主義にすぎないとレヴィ=ストロースは批判した。
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